アンパンマンなデザイナーって疲れない?
2020年の夏、わたしは
新聞広告のデザインを任された。
新聞っぽいデザインがいいか、
それとも雑誌風なオシャレな感じがいいか…
あれこれと参考になるデザインを探していたら、
引き寄せられるように
ひとつのデザインと目が合った。
2013年に新聞広告
クリエーティブコンテストで
最優秀賞となった作品だ。
桃太郎は一般的に見ればヒーロー。
でも、
反対側から見ると悪役。
イラストと文字だけという
シンプルな広告ながら
どんな行為でも
善悪の2つの面が存在する
というメッセージに
強く惹かれた。
わたしはこの広告を見たときに
虚しさを感じながらも、
「いい人」でいようとしても
悪くみられることもあるんだったら、
「無理していい人にならなくてもいいじゃん」
と、ちょっとだけ
生きるのが楽になったことを
覚えている。
目次
LINEのやりとりって、めんどうくさいけどやめられない
楽しくもないのに、
いい人を演じるのってメンドーだ。
電話やLINEのやりとりでも
「いい人」と思われたくって
メンドーでも笑顔をくっつけてしまう。
「せっかくできた友だちだから」
とか
「正直うざいクライアントだけど
嫌われたら仕事がなくなるかも」
とか。
相手に嫌われたくないから
苦手な人にも
好かれようとしちゃう。
でも、
「いい人」を演じることで
体と心のエネルギーを
ごっそり削られて、
デザインに集中することも
休日に起き上がることすら
できない日もある。
いい人でいるのは手放すのが怖いから
コロナがはびこる4か月前。
髪型がキノコに似ている
学生時代の親友マッシュちゃんから
「実は旦那の弟と
体の関係があるんだよね…」
と、電話で告白された。
マッシュちゃんは、
お互いの恋愛遍歴や
人には言えない悪いことなど、
人生のすべてを話してきた親友。
20代を一緒に過ごしてきて
おばあちゃんになっても、
ずっと一緒に
縁側でお茶をすすっているだろう。
でもさ、、
今回の内容ばっかりは重すぎる。。
正直ちょっと距離を置きたいと思った。
ごめんね、急にこんなこと話して。
でも、またハナシ聞いてくれる?
一緒に遊ぶのは今はキツイけど、
ハナシを聞くくらいならいっか
と、ぎこちない顔で笑った。
最初はもちろん良かった。
でも、
嫌われないために
いい顔をし続けたけど、
内容がどんどんエスカレートしていく。
さすがの
筋トレ好きなわたしでも
「もう無理っス…
ベンチプレス100kgは
どうがんばっても無理っス」
と音をあげるくらい、
重いLINEが毎日とんでくる。
最終的には、
今度いつヒマ?
会わない?
と言われてしまった。
あー、
もう無理かも。
しんどい。
コレだめなやつ。
自滅しちゃうやつだ。
いっつもそう。
仲良くなった友だちが
いなくなるのが怖い。
もう2度とこんなに仲良くなれる人とは
出会えないかもしれない。
だから、
どれだけしんどくても
子どものころは
好きなものは好き、
キライなものはキライって
言えていたのにな。。
悪者のバイキンマンはなぜ人気?
子どものころ、
バイキンマンの自由さが楽しくて
よく見ていたアンパンマン。
自分の顔をちぎっては
町の人を笑顔にするアンパンマン。
そんな「いい人」そのものな
正義のヒーローとは真逆の、
イタズラをガマンしない
子どもたちの裏のヒーロー
みんな大好きなバイキンマン。
30周年を記念して行われた
人気投票ではもちろん
アンパンマンが1位。
でも、
2位はバイキンマン。
そして、
しょくぱんまんやジャムおじさんが
続くと思いきや、
3位はコキンちゃんで、
4位がドキンちゃん。
2、3、4位が
まさかのイタズラ好きキャラ。
だって、
バイキンマンって
いつも楽しそうじゃない?
なぜなら、
「嫌われる」ことよりも、
人間らしい
「自分のウソをつかない」ことを
優先しているから。
だから、
子どもたちは
自分のかわりに
本来の人間らしくイタズラをしてくれる
バイキンマンが大好きなのだ。
「アンパンマンをやっつける」
という趣味のため、
バイキン城で機械いじり。
そして、時には
大好きなドキンちゃんの尻に敷かれて
お仕置きされたりもする。
もしかしたら、
なのかもと思ったり笑
それにひきかえ、
アンパンマンは
自分の顔をちぎって
人に食べさせてあげる代わりに
ヘロヘロになっちゃうし、
ジャムおじさんがいなければ
笑顔をキープできない。
(↑バイキンマンがあの手この手で
叩きのめすからだけど笑)
この
人とウマいこと生きていくために
自分をすり減らしちゃう
ことって、
マッシュちゃんにいい顔して
平日も休日も疲れきってる
自分みたい。
自分よりも人を優先する
アンパンマンと、
人間よりも人間らしく
のびのびと生きるバイキンマン。
どちらが見ていて楽しそうかは
一目瞭然だよね。
アンパンマンは
人を助けることが好きで
やっているからまだいい。
わたしは
好きでやってもないし、
ましては距離を置きたい人に
いい顔しちゃって
自分のためにもなっていない。
きっと
アンパンマンより
見ていて楽しそうじゃない。
苦手な人と関わらないと自分時間をGETできる
自分らしさを優先すれば
いい顔する必要がないから、
自分の時間がみるみる増える。
ただ、
わかっていても
いい顔をするのをやめられない。
条件反射みたいに体に染みついている。
だって、
人に嫌われるのって
フツーにショックだし、
嫌われたい人なんていないよね。
大人になると
職場や取引先との
人間関係が生まれてくる。
だから、
潤滑油のように
笑顔をつくったり、
自分から楽しみにいくマインドも
必要なのだとは思う。
まっぴーがフリーのデザイナーとして
独立するとき、
ちょっと苦手だなと思うクライアントも
キープしておかなくちゃと
いい顔をしていたこともあった。
好かれるために
何でもハイハイ言っておけば
ギスギスしないし、
犬のようにシッポをふっておけば
かわいがられて、
次の仕事につながることもある。
でも、
自分がどれだけ
誠実に行動しても、
変な言いがかりなんてなくならない。
たとえば先日も…
「クライアントのために」と
必死に時間を削ったのに
裏切られたし!!
わたしたちが大大大好きな
金曜日の夜、
今日は夜ふかしして、
あしたの土曜日は昼過ぎまで寝るぞ〜〜!
と、
夜ごはんを何にしようか
おいしいごはんを妄想して
よだれを拭ったとき、
夕方に信じられない
メールが飛んできた。
げ、まじか、、
最高の時間に
最悪のタイミングでやってきた
仕事の依頼。
いつもだったら
秒で断る。
だがしかし、
メールの依頼主は
これからも仕事が続きそうなクライアント。
だから、
ありがとうございます!
楽しそうな仕事ですね^^
わかりました!
月曜AMには送りますね!
と、
3日ごはん抜きだった
犬のごとくシッポをふって、
休日返上で3案つくって提出。
そして、
そんなヘコヘコ姿勢に
調子に乗ったのか、
依頼があってからも
1週間後に別案作成の依頼。
からまた後日に別案追加。
2週間後には
5つもデザイン案を作成するはめに。
でも結局、
デザインは不採用となった。
デザイン案が
気に入ってもらえなったのなら
まだわかる。
でも本当は、
営業さんのスケジュールと調整不足が
原因だった。
しかも、
その会社の上司には
「今回のコンペ、デザインで負けました」
と、営業さん都合で
事実を変えられれて告げ口された。
そして、
勝手に振り回されたうえに、
仕事もなくなるなんて最悪…!!
つまり、
いい人=「都合のいい人」
だったわけ。
人間関係を軽くしてくれる『1・7・2の法則』
頼まれてもいないのに
愛想よくして、
デザインも時間も
クライアントとの取引話もパー。
だったらもう
いい顔するのやめよ。
・やりたくないけど、やらなくちゃいけない
・一緒に仕事したくない
そんな人とのやりとりは
超セルフィッシュに。
痛い目をみてからのわたしは
バイキンマンのように
相手にも、自分にも
「素直」に
対応することにした。
たとえば、
いつもだったら
お世話になっております+
名前+用件~~+
よろしくお願いします+署名
と長々書いていたメールの返信を、
返信内容+よろしくお願いします
だけにしてみた。
まぁ、
ちょっと無愛想かな?とは
思ったけれど…笑
帰ってきた返事は、
まさかの
「オッケーです!それで進めてください」。
(え、、いけ、た?笑)
今まではいい人に思われようと
丁寧な返信を心がけて
10行くらい書いていたのに、
2行にしても
いつもと対応は
なんら変わらなかった。
なんだ、
好かれようとしても
好かれるとは限らないし、
嫌われようと思っても
嫌われないもんなんだな。
組織や集団での
人間関係に悩んだときに
1・7・2の法則
という
心を軽くしてくれる法則がある。
じぶんが人生でなにをしようとも
1割の人はじぶんをキライになり、
7割の人はなんとも思わない。
でも、
“じぶんがなにをしようとも”
2割の人は自分を応援してくれる
のだという。
だったら、
言いたいことは
言っちゃっても意外と平気だし、
なんなら、
「愛想はいいとは言えないけど
嘘をつかない誠実な人」
と、
いい関係が築けて
今ではコンスタントに
ウェブのお仕事の依頼が
途絶えなくなったほどだ。
こんなふうに、
バイキンマンなデザイナーになってからは、
じぶんの時間と
仕事にかける時間のバランスがとれ、
じぶんの時間をGETできて、
フリーのデザイナーになることができた。
人の顔色をうかがって
自分の時間を減らすことがなければ、
好きでもないクライアントに
いい顔してへらへらすることもない。
だって、
最初の桃太郎の広告のように
よかれと思ってがんばっても、
同情やおせっかい
と思われることもあるんだから。
だからもし、
今度マッシュちゃんに
会うことがあったら
思いきって言ってみようと思う。
「あのときの電話、
実はイヤだったんだ」
って。
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